ジェンガング/影山影司
む度に胸のジェンガがガラガラと崩壊する。
ジェンガのタワーが全て崩れて、ジェンガの山になる。
僕の生命は確かにそこで終わった。
死ぬ数日前は随分、感覚が鋭くなった。
割れそうなコップの硝子の中にはB球の質感を持ったジェンガが見えた。水道水を注いで口をつけたのだが、ふとみると人の身体にあるのと同じようにジェンガタワーがあった。中腹の辺りで十字が重なったジェンガ、指でつつくとふるふると奮え、私はあわてて五指で壁を作って崩壊を防いだ。気がつくとコップは私の両手からはなれ落下する。僅かな水と硝子を撒き散らして、汚らしく床の塵芥と共に散らばる。
僕はここに来てようやく、自分が「見
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