ジェンガング/影山影司
 
越しに踏むとまるで砂のような感触。水分を吸って解けた埃の黒ズミがいやに汚らしい。あぁ。


 ベンチに座る。風は冷たく、日はチリチリと肌を焼く。いい季節だ。僕はこの季節がとても好きだ。背筋を伸ばさず、ぐでっと尻をずらしてベンチの上で溶けたように広がると気持ちいい。そんなわけで、僕はこの季節の公園も好きだ。
 これが休日であれば尚、幸せなのだけれど、残念なことに僕は休みの日、外出をしないことに決めているので休日の公園を知らない。隣に赤茶けた服装の爺さんが座る。水色の空の雲の流れが分るくらい風が強い。吹き続けているわけではない。深い寝息のように、リズムを感じさせない、リズミカル。
 少し時期
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