午後からの哲学者/捨て彦
橋の立ち位置とを比べて愕然とする。僕の座っている席と、高橋の立っている教卓との距離は目と鼻の先である。が、僕は一体、これからどれくらいの時間を費やして回り道をすれば、今高橋が立っている場所に到達できるのだろう。そもそも、いつか僕は、高橋のようになれるのだろうか。僕はふとした瞬間に、その果てしない距離ばかりをとりとめもなく考えてしまうから、そのあまりの遠さにビックリしてしまって、いつも身動きが取れなくなってしまうのだ。僕はこれからどういう道を辿っていくのだろう。僕が一年後にいる位置は。僕が十年後にいる場所は。いつか、そのとき、僕はどういう立ち位置に立っているのだろうか。
「勇太っ」
「は
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