午後からの哲学者/捨て彦
 
「は。」
「は、じゃねーだろ。ぼーっとするな」
「あ、は、は〜い。」
「は〜い、じゃねえよ。気の抜けた返事しやがって。運動場で寝てくるか。」
少し笑いながら高橋が言う。
「いえ、それは結構です」
高橋はほとんど怒ったことがない。
そういえば、この前の放課後のとき、高橋の真似をする僕を見て、帰りに智子が笑いながら言うのを思い出した。
「うまいけど、勇太は、高橋先生じゃあないよねえ」
午後からの哲学者は終わりのチャイムで姿を消すのだった。



戻る   Point(4)