午後からの哲学者/捨て彦
 
ともその良さがわからん。でもきっと、この学問が好きなんだろうな、この人は。だって、今歴史の先生として、まぎれもなく僕の前に立っているんだから。ほかのことはわからなくても、それだけは確実にわかる。一つの物事があるとき、たとえその理由がわからなかったとしても、目の前で起こってる出来事を普通に見れば、わかることだってたくさんあるはずなんだ。どうだ。私は哲学者なのである。午後だけ。
この前放課後、委員の仕事があるからって、智子が教室に残っていた。僕も別にすることがなかったから智子と話していた。智子はなにか自分の机でノートを出して、必死に書いてて、僕はヒマになったから、黒板に絵を描いて遊んでいた。で、なか
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