午後からの哲学者/捨て彦
 
をする。僕はこういうでしゃばった女が嫌いだ。すると高橋はまた、あの涼しい目をして
「ああ好きだ。おまえらもいずれわかる」
と言うのである。僕は不思議と鳥肌が立たない。





***





僕は午後からの哲学者である。非常に暑い。クーラーなどという近代の英知がない教室で。
教卓が黒板の中央あたりにある。僕の席はそのすぐ前。いつも、目の前に教師の姿を拝む格好になる。午後。注意された直樹も授業をまじめに聞いている。たしか新人戦が近いんだっけな。眠らせてやってもいいのに。なあ。いやいや。僕は哲学者である。午後から。午後から哲学するのである。哲学者である私は。
僕は考
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