午後からの哲学者/捨て彦
 
う。歴史なんて面倒くさい、長ったらしい授業をなんとか面白くしようとしている。って、結構寝てるやつもいるけど。寝てるやつがいたら高橋はまず、そいつの名前を呼ぶんだ。苗字ではなく名前で
「直樹っ」
って。で、おまえ、寝るんなら
「運動場で寝ろ」
って言う。ソイツの目の前まで行ってしゃがみこんで、相手の顔をまっすぐ見て。そうすると大概のやつは、すみませんって言う。
「す、すみません」
高橋のこの注意の仕方は妙に迫力があって、だからみんなこれをやられたら大体は目が覚める。でも高橋はそのあと必ず
「眠かったら本当に寝に行っていいんだぞ。ただし運動場でだけどな」
と涼しい目をしながら言う。ほと
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