午後からの哲学者/捨て彦
 
ほとんどの奴はそれで終わるんだけど、前突っ張ってる中田がいきなり立ち上がって教室を出て、運動場の真ん中で仰向きに寝転がったことがあった。誰もいない授業中のグラウンドで大の字になって、一ヶ月くらい前だっけ。んで目を瞑って眠ろうとしていた。六月の初めくらいにも関わらずその日はやたらと暑かった。午後の日差しは夏の気温を指していた。みんな窓のほうを見て中田の動向に目を見張ったんだ。高橋は少し笑って
「ほっとけ。授業するぞ」
と言った。それから僕は中田をしばらく見ていた。十分くらいすると、中田がふらつきながら立ち上がって、校舎に向かって走ってきた。で、教室に戻ってきて
「先生、あんなとこで寝れねえよ」
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