200×年○月△日/捨て彦
然普通に喋れた。どっちもそんなに騒ぐようなタチではなかったから丁度良かった。
どこに住んでるのか聞いたら大分遠いところだった。田舎やん、って言ったらそうやと言って笑った。よくは分からんけど中核市の隣町とかそんなところだった。
「そんな遠い所から来たんやったらこっちから行けばよかったなぁ」
「別にええねん。あたしここの海見たかったし」
「あんまこうへんの?」
「何回か昔来たことあんねんけど」
「ほな良かったな」
「あたし夕暮れの海好きやわ」
向こうのほうで漁船がぼーっと音を立ててゆっくり動いている。んでところどころに浮きがプカプカしていた。水面は夕日できらきらしてたのでおれはもう
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