黎明/Airport limousin/月乃助
したかったから ふりかえり
こなごなに たたきつぶした
あかりの点々と走る
漆黒に染まった夜から
ひざを抱え 背をむけた部屋も
明日さえも投げ捨て
無色になった身ひとつで
旅立つんだ
窓にうつった ぼやけたふたり
泥だらけのおれを ひろってくれた
おまえだから
かならず帰ってくるって 約束した
目をとじるおまえの
手をにぎりしめながら
すべてをのみこんでしまう
髪の香に 淋しさがたちのぼり
また会えるって 強がる
いつもの元気な肩に けれども
ふりむけば 泣きそうな
顔がみれなくて、
よりそう髪のすきまに
悲しみをうずめた
終着など
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