野良犬の唄/服部 剛
 
たとえばCafeのテーブルで 
頬杖をつくひと時 
ふいに美しい夜想曲が聞こえて来るように 
哀しみのゆくえなど 
何処かへ流れてゆけばいい 

たとえばCafeのテーブルで 
何気なく開いた本の中から  
遠い昔の詩人がそっと語りかけるように 
幸いのゆくえなど 
風に任せておけばいい 

この手の届きそうなところにいた 
愛しいひとの面影は 
あの日 
霞の向こうへ消えました 

だからといって黙って僕は 
悟りきったふりをして 
半端にパンを齧ったままの 
ふ抜けた面で、いいのでしょうか?  


   否・・
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