野良犬の唄/服部 剛
 
・・・! 


「 敗北者のように雨にずぶ濡れた 
  あの日の 
  憐れな野良犬が 
  背後の壁に飾られた 
  額縁の中に、四本足で立っている 」 

ずぶ濡れの、震えた犬よ 
今日という日が破れるほどに、牙を向き 
上っ面の幸福など、剥がしてしまえ  

更けゆく夜の山間に 
その雄叫びが響くよう 

全身を生身の楽器にして 
もう一度、汝は吠えよ。







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