小詩集【よろこび】/千波 一也
 

 思いを
 胸に
 草生う道で
 会釈をひとつ


夕焼けのなか
とんぼが過ぎて
とおい真夏へ
向かってく

ぬけがらの上を
信じるものを
まっすぐ
束ねて
透明






六、天窓


ひかり、ってものに
形はないはず
だが
あかり取り、なんて
名のつく窓が
あるわけで
つい
つい
形を
みてしまう

そこには無いけれど
確かに、
無いけれど
あかりの姿が
みえてしまう

これは
とんでもなく
おそろしいことの
はず
なのに
おれたちは
間違ってなんかいない、と
自信をもって
間違えられる
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