小詩集【よろこび】/千波 一也
 
うことが
どこか
呪縛めいて
めぐるけど

身代わりに
ひとすじたちの身代わりに
うらみのすべてを
聞けない代わりに
ぼくたちは、
在る





五、ぬけがら


この
ぬけがらの主は
きっと
りっぱな
成長をとげて
そっと
どこかで
息絶えただろう


 どんな夕日を
 浴びたのだろうか
 どんな夜露に
 濡れただろうか

 どこで勇気を
 覚えただろうか
 どこで恐怖を
 捨てたのだろうか


この
ぬけがらの主が
とうに
果てた後だとしても
残したものは
必ずある
はず


 同盟めいた
 
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