今日の読書記・其ノ一 ー リルケ・小林秀雄・ヘルダーリン・西山あまね・松尾芭蕉 ー /服部 剛
 
ルケの第一の悲歌を読んで思い出しました。 

 何かを求めるように切迫した心情で、詩人・リルケは「天使と美」を結びつけて語っています。この詩の訳と註解をした手塚富雄氏は、

 (詩人とは、習俗の皮を剥いだ高次の現実性を熱烈に求めている人であり、それが彼にとっては真の美であり、隔絶した天(神)と地上の両方を結ぶ存在として実現する(天使の世界)なのである)と語っています。  


   小林秀雄「Xへの手紙・私小説論」より「様々なる意匠」 


 この文は、小林秀雄が二十七歳の時(昭和四年)に書いた、文壇登場作になるもので、批評家として最初の、揺るぎない立場を確立し、後の文学活動の
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