喫茶さぼうるにて ー神保町探訪記ー /服部 剛
 
 この数日間、僕は東京に所用があり、一人の時間はぶらぶらと気の向くままに、都内を歩いていました。数日間の休みの間に僕が心温まった「ちょっといい話」を、旅の便りのように皆様に贈るのもいいかなと思い、この手紙を書いています。 

 僕が今日訪ねたのは古書店街のある神保町にある、老舗のレトロな喫茶さぼうるという僕にぴったりの?名前の店で、僕の好きな作家が生前に訪れて座った席に僕も座ろうと思いました。店に入ると、壁に掛けられた古時計の下にモノクロームの写真が飾られ、在りし日の作家が仲間達と肩を並べて微笑んでいました。階段を下りて地下に入るとそこは煉瓦の壁に囲まれた、戦後間も無い頃から変わらない空間で
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