あの夏「拝啓、ジョンレノン」/ふくだわらまんじゅうろう
 
にせよ
私は後悔すべきではない
それは正しいことではない
そんなことはわかっている、わかっているけれども
彼女はそんな正しさなんか飛び越えて
超越して
一瞥さえ与えないで
生きていたんだし
今でもそうして生きているのだろうなあ
とてナルシスティックで
とてもエゴイスティックで
とてもとても肉感的で
とてもとてもとても官能的で
とても拙くて
だからこそ真っ直ぐで
言い訳のない夏へ
潮風を
あの朝焼けの潮風を
秋の予感を運び来る微風を
その頬に
感じるならば、私は、ひとり
私はひとり、思い出さずにはいられないのだよ
そして、心に
叫ばずにはいられないのだよ
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