あの夏「拝啓、ジョンレノン」/ふくだわらまんじゅうろう
だよ
「拝啓、ジョンレノン…」
馬鹿げた歌だ
だけどあの馬鹿げ方は、途方もなく
彼女の馬鹿げた生き方を
彼女の馬鹿げた生き方の炎を
彼女の馬鹿げた生き方の炎のきらめきを
彼女の馬鹿げた生き方の炎のきらめきに焼き尽くされた私の遅咲きの青春を
激しく呼び覚まさずにはいないのだよ
「拝啓、ジョンレノン
そして今、懐メロのように
ステレオから流れてくる貴方の声はとても
やさしい…」
馬鹿げたやり方で私の人生に飛び込んできた彼女は
やさしくなんてまったくない声で泣いた
大声で泣きながら
愛を叫んだ
だけど私は馬鹿だから
彼女を選ばなかったのだった
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