あの夏「拝啓、ジョンレノン」/ふくだわらまんじゅうろう
すべての正義が
常識だとか良識だとか
世間体だとか
くだらない倫理観たちがふっとんだ
竜巻に吹き飛ばされるドロシーの家みたいに
そして価値観は
地動説の地平から離陸しようと
まさに羽ばたくようだった!
私は激しく
彼女に突き動かされた
私の過失のすべてを彼女のせいにしようとしているのではない
私はただ、彼女の能動性を讃えたいだけだ
彼女は私を
「正しい生き方」の世界から
もっとナルシシズムで
もっとエゴイズムで
もっともっと肉感的で
もっともっともっと官能的で
もっと幼くて
もっと拙くて
だからこそ率直で
言い訳のない世界へ
その夏を
その
一度き
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