猟奇的に泣き、猟奇的に鳴く/A-29
互いに惹かれ合いながらも、別れを予感し山へ登った二人。眼下には大きな川が横たわり、その向こうには美しい山が聳える。
「あそこへ行って。」
彼女は別の山の頂上を指差し、キョヌに行けという。
「ここから叫んでみるからさ、聞こえたら返事して。」
「え? あの山のてっぺんへ行けってか?」
「うん。」
言われたとおり別の山へ登頂し、手を振ってみせるキョヌ。彼女は遥か彼方のキョヌへ向かって泣き叫び謝罪する。
「キョヌ〜。ごめんね〜。ごめんね〜。」
この時、いっしょにカササギが鳴いている。
「ギャギャギャ。」「ギャギャギ
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