地底刑務所の生活/きゃとる
 
何も感じなくなってきた私は、この暗闇に包まれた監獄の中で地球の煤にまみれながら、よもやそんな自分の姿に気づく暇も無く、ただひたすらに体力を酷使する生活を、案外心地よく感じ始めているのだろうか。

 ここには義務しか存在しないが、不安は無い。当然自由なんてものはないが、来る日も来る日も永遠と同じ事を繰り返しているうちに、最早そんなものはどうでもよくなってしまった。

 死ぬまでの時間が完全にパッケージ化されている中では、あらゆる思考能力や感情が抹殺される。無論不安も生じ得無い。自由の身であって初めて不安は生まれるものだから。

 それでも初めのころは、傲慢な看守たちの理不尽な扱いに対して
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