地底刑務所の生活/きゃとる
 
していちいち声を荒げていた。

 それも次第に、この狭い社会の中では完全に無駄だということを悟って行った。死ぬまで囚われの身であるということを、本当に理解したとある瞬間が、私の中にはあったのだろう。それ以降は、どんな命令にもただ従うだけだ。


「ここで生きて行くより他無いから?」


 ぼんやりとした頭に時折遠くから微かな声が聴こえてくる。


「あなたの名前は…?」


 労務に戻ればそんな声もすぐにどこかに消えてしまう。



 しかし、晴天の朝だけはいつも変わりなく、余りにも残酷な真実を突きつけてくるのであった。

 


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