東京少年 「国立」/虹村 凌
れば、毎日は楽しかった。
それでも鏡に映る顔は、日に日に崩れ、剥がれきらない角質、老廃物、体液が段々と層を成し、自分でも一瞬誰かわからない程、崩れていっていた。それを見る度に、絶望的な気分にさせられた。
表だって何か言われた事は無いが、陰で気持ち悪いと言われている事はわかっていた。実際に、街を歩いていて笑われたり、満員電車の中で隣に立った人にあからさまに厭そうな顔をされる、なんて事はしょっちゅうで、その度に、憎しみだとか、怒りだとか、悔しさだとか、そういった感情は膨れ上がったけれど、学校について楽しい話をしていれば、忘れる事が出来た。多分、学校がそれほど楽しくなければ、とっくに引きこも
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