東京少年 「国立」/虹村 凌
 
こもっていたと思う。
 もう一つ、俺を救ったものがある。それは、詩を書く、と言う行為だった。大したテクニックも無いし、知っている言葉は少ないけれど、思った事をノートに書きとめて、記していくと言う行為は、少なからず、破裂しそうな精神のガス抜きになっていた。別に公表する訳でもなく、ただひたすら、ノートに書き溜めていった。実に根暗な趣味だと思うが、暴発するよりゃマシだと思っていた。
 そんな風にして、辛く苦しい朝と楽しい日中を繰り返していたある日、授業の為に教室に入ると、川村の周りに人が集まっていた。川村は、漫画家を目指しているんだか何だか知らないが、とにかくマンガを描くのが上手な奴だった。その
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