東京少年 「新宿 (二)」/虹村 凌
 
女が俺を嫌いになった訳じゃないと言うのは、半分くらい信じられる。しかし、重いってどういう事だ。同級生が彼女にそう言われた、意味がわからない!と愚痴をこぼしたのを訊いた事があったが、実際に言われてみると、やはり理解しかねる言葉だった。
「なぁ」
「ん?」
「重いって、どういう事だ?」
「え?」
「よくわかんねぇんだ。重いって、どういう事だ?」
「リュウジさ、私の事好きなんだよね?」
「うん」
「私も、リュウジの事が好き。でもね、二人の「好き」の大きさが違うの」
「うん」
「リュウジの私を好き、がね、私のリュウジを好き、より大きくてね、それが重いの」
「同じ
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