東京少年 「新宿 (二)」/虹村 凌
勘違いなんかでは無く、本当にその話をする為に、俺とローザはこうして会っているのだ。
ローザはドーナツを食べ終わると、アイスコーヒーで喉を潤してから、俺の顔を凝視した。
「美味かった?」
「うん」
ローザは頷くと、大きな深呼吸をひとつ、体全体を動かしながらした。同時に俺は、手に持っていたセブンスターを灰皿でもみ消した。
「話って何?」
俺は既に火の消えたセブンスターを、灰皿にぐりぐりと押し付けながら訊いた。
「うん。もう、わかってると思うけど…」
ローザは、煙草を灰皿に押し付ける俺の指を見ていた。
「私、疲れちゃった」
ローザは、俺の目を見ずに、短く
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)