粘膜の輝き/花形新次
リークの水を飲んでも、
なんともなかったぐらいなんだから。
僕はその年の8月、はじめて父さんと一緒に<粘膜の輝き>を見に行った。
仕事から戻ったばかりの父さんは少し面倒くさそうにしていたけれど。
どうしてもって、お願いすると、父さんは懐中電灯を手にして、しようがないなと
言いながらどこか嬉しそうな感じで、僕の手を引いて、暗がりの中クリークへ連れて
行ってくれたんだ。
<粘膜の輝き>は見られるかな?
どうかな。
僕は生まれてから一度も見たことがないんだよ。
そうか。おまえも<粘膜の輝き>を見たがるような年になったか。
父さんは見たことある?
ああ、おまえぐらいの年の
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