紫陽花/shu
 

深緑の木々が息をしているように、その存在の輪郭を露わにしている。
寺の背後のこんもりとした黒い森からはアオバズクの声がする。

「あじさいってのは七変化って言ってな。アントシアニンや土壌のpH(酸性度)によって
 色が変わるんだ。土壌が酸性ならば青、アルカリ性ならば赤、と言われてる」

そんな含蓄を垂れる私をよそにゆめこはさっさと服を脱いで、月明かりの下に立つ。

「じゃあ、このお寺の土は酸性ね。お骨が埋まっているせいかしら」

青紫にその身を染める紫陽花の傍らに、ゆめこの白い肢体が寄り添う。
肌がほんのり月明かりに滲んでいるように見えるのはファインダーのせいな
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