東京少年 「新宿」/虹村 凌
は酷く荒れ、古い角質と体液が折り重なり、茶色い迷彩色を作り上げていた。
シャワーを止めて、脱衣所に出る。リビングから、ラジオ体操第二の音が聞こえる。毎朝、祖母がテレビでラジオ体操をみながら一緒に体を動かしているのだ。俺はどうも、このラジオ体操第二の音が好きではなかった。水滴が沁みる部分を叩きながら拭き取り、新しいトランクスに足を通し、リビングに出た。
「おはよー」
祖母は何時もと同じように、ラジオ体操を続けたまま挨拶をした。この祖母は呆れるくらいに元気だ。昨日も、友人達と終電ギリギリまで飲んだ挙句、最終電車に乗れたはいいが、寝過ごして一駅先の駅で起き、タクシーに乗ろうにも長蛇の列に
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