東京少年 「新宿」/虹村 凌
 
しかない朝が、俺は大嫌いだった。
 ベッドと一体化している引き出しをあけて、新しいトランクスとタオルを掴んで、風呂場に向かった。朝の何が嫌だって、起きた瞬間の次にこれが嫌なのだ。ただでさえヒリヒリとする顔面中についた、薄黄色い体液を洗い流さなくてはいけない。俺はシャワーを浴びながら、小さく呻き声を上げた。耐えようと思っても、この鋭い痛みが、なかなか耐えられない。硬く握った拳を開き、頭を抱え込んで緩やかなお湯で流す。
 アトピー性皮膚炎。それが俺が患っている病気の名前である。幼い頃から患っていた訳じゃない。半年程前、急に両腕の間接が痒くなり、気付けば前進に広がっていた。特に、顔周辺の皮膚は酷
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