一時閃光/影山影司
計算する。下読みの寿命は公称で一ヶ月ほどだ。個体差、気温や、作業負荷などによって寿命は変化するから25日と計算しろ、と編集長から教わった。三日に一作は読んでもらわないと間に合わない。彼らが作業を完了させないと、一次選考の仕事は編集者、つまり自分に回ってくることになる。
未発見の才能、商業主義に毒されていない新人の作品。聴こえは良いが素人の投稿作品なんて、その大半が読めたものではない。誤字脱字だらけのもの。物語はおろか言葉遣いが破綻しているもの。昔バカ売れした作品のデッドコピー。そんな『読む価値の無い作品』を精読する程、作家も編集も暇ではない。なのでこうやって下読みを使って、作品をふるいにか
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