一葉の札/光井 新
 
っていない私達家族にとって、それは当然の事なのだが。
 皆、だらしのない家長に文句一つ言わず、慎ましく暮らしてきた。とても良くできた、私にとって自慢の家族である。
 そんな様子を、神様はちゃんと見てくださっているのか、私達は食べるのに苦労した事がない。先祖から受け継いだ田んぼや畑があるのだが、私達家族がこちらに来てからは、不作の季節などはまだ一度もないのだ。
 それと何といってもやはり、病に倒れて以来、あまり野良仕事には出られなくなってしまった私の分まで、毎日懸命に働いてくれている妻のおかげであろう。
 ここは一つ、妻のために使おうか? 何が良いか、直接妻に聞いてみようか? しかしあの健気
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