宮沢賢治からのメッセージ 〜言葉というたべものに就いて〜 /服部 剛
 
に充たしています。そして、賢治が(はたけや森の中で、ひどいぼろぼろのきものが、いちばんすばらしいびろうどや羅紗や、宝石いりのきものに、かわっているのをたびたび見ました。)と語っている言葉から、日常の何でもない素朴なものの内に宿る美しさを見出す詩人の視力があり、むしろ世間的に格好よいものより、あわれで哀しむような存在の内にこそ、その人に宿る光を見出そうとする、詩人の魂を感じます。 

 (これらのわたくしのおはなしは、みんな林や野はらや鉄道線路やらで、虹や月あかりからもらってきたのです)と、賢治は自分の目に映る全ての自然の情景が、生き生きといのちの言葉を自らに語りかけて来る声として全身の感覚で
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