メランコリック.夜間行殺法/影山影司
 
落ちる。一分か、三分か。数分の意識の明滅に、俺の精神はすっかりやられている。

 俺が眠りに入ると、その瞬間『メランコリック』が顔を出す。ヤツは天井に頭を突っ返させるほどの長身で、肩甲骨の辺りから体を折り曲げて俺を見下ろす。折り曲げた背中はべったりと天井にひっついて、溜まった水滴がボタボタと落下する。でかいくせに体は細く、体に比べてさらにヒョロ長い腕と手指で、俺の体を弄繰り回す。俺の体の右乳首を五回、左乳首を三回、右肋骨下から二番目を七回叩くと、俺の腹部−胸部ハッチが開く。メランコリックは優秀な修理工。眠っている俺を起こさないようにそうっとバスタブに入り、俺の体の隙間を縫って足を置く。立ったま
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