たまごがけごはん/唖草吃音
 
帯の数だけの料理があって、
しかも同じ料理はひとつとしてない。

この町は世界でも類をみない、
巨大なレストラン街になっている町なのだ。

この町のこの風習の歴史は古い。
だから料理にもその時代の流行のようなものがあって、
時代によって予約が殺到する家もあれば、
まったく予約が入らないさみしい家もある。

僕の家の得意料理は「たまごがけごはん」だ。
僕の家ではこの「たまごがけごはん」を、
この町にこの風習が生まれた200年も前から守り続けている。
ひいおじいちゃんの代のころには、毎日のように、
「たまごがけごはん」を求めて、
どこかの家族が入れ替わりに訪れたそうだ。
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