「名」馬列伝(2) トウショウサミット/角田寿星
。だからあんちゃんの生涯最後の2レースを書き留めるだけにする。
オークスではナカミアンゼリカ。直線でノアノハコブネと叩き合いの末に、及ばず2着。こうして一枚足りない馬で、見せ場いっぱいの大善戦を演出するのが、あんちゃんの持ち味だった。
そして、ダービー。彼の一世一代の晴れ舞台でもある。あいにくの重馬場で、内は特に荒れがひどい。
スタートはよくなかった。が、あんちゃんは手綱をしごきながら、無理矢理ハナを切ろうとする。
軽快な逃げが彼の武器だったし、あんちゃんの武器でもあった。あるいはハナを切って、荒れた馬場のいいところを通ろうという肚があったのかもしれない。
今ここで脚を使え
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