「名」馬列伝(2) トウショウサミット/角田寿星
 
使えば、しまい掴まることは判っていただろう。しかしそれでもハナを切る。何か意志を感じさせる、彼とあんちゃんの逃げだった。
奇跡は起きなかった。しまいズブズブの18着。
そしてダービーから16日後、あんちゃんは還らぬ人になった。
近しい人でさえ、あんちゃんの病状を知ったのは、ダービー後だった。小島太は人目をはばからず号泣した。あんちゃん死亡の報を受けた競馬マスコミやファンも、何が起こったのか一瞬判らなかった。
騎手、中島啓之。1985年6月11日没、享年43歳。

実は、彼に関して語ることは、これ以上はあまり多くない。3歳秋にオープン特別を2連勝した後は並のオープン馬となり、6歳まで走って、種牡馬入り。地方重賞勝ち馬を2頭出した。
ただ、あんちゃんの忘れ形見として記憶に残る、そんな馬がいてもいい、と思う。


トウショウサミット 1982.5.5生 2000年死亡
          24戦5勝  
          主な勝鞍  NHK杯 

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