「名」馬列伝(1) ライバコウハク/角田寿星
げながら障害を越えようとしたその瞬間、彼の後肢に鈍い音が走り、大きくバランスを崩す。骨折したことは誰の目にも明らかだった。
そしてなんと、三本脚のまま、大土塁障害を飛越。当然着地できる筈もなく、もんどりうって倒れる人馬。
その直後、彼は何をしたか。彼は骨折の激痛に耐えながら、前肢を突っ張るようにして、騎手と障害の間に立ちはだかった。そう、自らの躯を盾にして、後続の馬から騎手を守ろうとしたのである。
同じ障害で、1番人気のトウショウドリームもまた、後肢をひっかけ、転倒。粉砕骨折を発症する。この大惨事にもろに影響を受けたメジロアンタレスは後退。代わりに、ずっと彼らの後塵を拝し続けてきたシノ
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