嬢とジョーと時々モヒカン/影山影司
 
を思わせる逞しき意思と、牙の感触。腹部を撫でても乳首の感触はしない。ジョー、お前は男なのだな。幼くとも男なのだな。
 牙が皮膚を僅かに突き破り、鋭い痛みが中指に走る。
 親猫が「あんた、うちの子に変なこと教えないで頂戴」と見つめている。お穣ちゃんには、分らないことがジョーと僕の間で交わされている。いつの間にか、子猫達が周囲を取り囲んでいる。あるものは塀の上、あるものは植木鉢の淵から、あるものは排水溝の隙間から。K-1のライブカメラのように、様々な角度からジョーの奮闘が記憶されていた。

 絶え間無く、ジョーは噛んで、舐めて、舐めて、噛む。痛めつけた傷口を癒すように舐めるのである。お前は母親
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