嬢とジョーと時々モヒカン/影山影司
 
だと感心した。

 一際威勢良く飛び掛る子猫を発見する。メトロノームのようにゆっくりと、大きく動く尻尾の先を、全力で狙うものだから、あっちへこっちへ翻弄されて、いつまでたっても獲物を捕まえきれない。なんと知恵の足らないことか。よくよく見ると、兄弟達は親譲りの黒多めの白まだらなのに対し、彼だけは白一色である。「ジョー、追いかけっこじゃ勝てねぇ、フットワークを使うんだ、ジョー!」直向な白猫に、思わず僕も心を動かされてしまったが、僕はクレバーに閃いた。
 先程まで、舌を鳴らして手招きしても逃げていった子猫たちを捕まえる方法だ。

 一歩近づくと、子猫たちは散開し、親猫も「母親ってのも楽じゃない
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