嬢とジョーと時々モヒカン/影山影司
てうろうろする僕。そして僕はモヒカン。あまり長居すると近所の住人に「マァ、薬中が家の前でうろうろしているわ」と騒がれる心配があったので、僕は親猫を手放した。親猫はしなやかにアスファルトに着地して、ニ三歩歩いてマーオ、と一声鳴いた。すると先程物陰に隠れた子猫達が、走り寄って来るではないか。座り込んで尻尾をゆらゆらと振ると、子猫達は一斉に、尻尾目指して飛び掛る。「おまえ達、それ猫じゃらしやなくてお前らの母さんやデ。分ってんの?」と思ったが、猫の親子はああやって会話しているのかもしれない。子猫同士は取っ組み合って、親子は尻尾にじゃれて。どちらも獲物を狩る動きである。萎えたとはいえ、やはり彼らも獣なのだと
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