嬢とジョーと時々モヒカン/影山影司
まで、子猫は二匹だと思っていたのだが、どうにも違ったらしい。ガレージの向かい、トタンの倉庫のあたりで、母などそっちのけで二匹の子猫が追いかけっこをしていた。親猫はそちらを一瞥して、また僕の愛撫に蕩けるのだ。
追いかけっこをする片割れが、どうやってかてっぺんの朽ちたブロック塀の上に登ると、もう片方がそれに登ろうと、後ろ足だけで飛び跳ねる。ブロック塀は僕のへそより少し上、子猫の目線よりずっと高いところにあるのに、ニ、三度飛び跳ねる。彼らはまだ、自分の能力の限界を知らないのだ。
塀の上の子猫が足元の猫を見下ろして、やがて飽いて飛び降りる。飛び降りた所を丁度狙われて、二匹の猫はじゃれあいながらコロ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)