嬢とジョーと時々モヒカン/影山影司
隙間を狙うように雨樋が差し込まれる。雨樋と、鉄板の隙間。これが子猫の体にジャストフィットらしい。「敵が来たらここに逃げ込むのよ」と教えられたのか、僕が近づくと子猫たちはそこにするりと逃げ込む。一匹逃げ込むと、狭さゆえにもう一匹は少し待たなくてはならず、困ったような顔でこちらを見るのだ。
猫と言えば狡猾な印象があるが、子猫は知恵が少しばかり足りないようだ。
子猫たちは人見知り激しく、僕が近づくとひょこひょこ跳んで逃げていってしまう。無理に走って追いかけるのも無粋だと思い、一先ず親猫を手招きして、ごしごしと背中を撫でてやる。人も猫も、中年の女と言うのはだらしが無いものと相場が決まっている。
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