「海が見える丘」:童話/月乃助
 
、見晴台が海峡の景色を目の下に見せてくれます。
「お船、大きい。泊まってんの」
「あれは、きっとパイロットをまってるの。海峡の水先案内をしてくれる人。だから、今はきゅけい中かな」
 貨物船は、ゆったりとその黒い影を沖の方に見せていて、それは、さながら眠りに付いた大きな魚のようです。
 波が光の影をきらめかせ、数しれぬ星の瞬きをみせてくれます。その輝きは、天の川のようにまっすぐと光の帯になって岸にとどいています。
「空もきれい、雲ひとつないんだ。今日は」
「雲ひとつない」
 その空をいっしょに見上げます。そこにカモメが飛んできて、羽を動かさずに海岸の方へ流れるように飛んで行きました。
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