静かなる夕暮れの道・ルオー展にて〜町田探訪記〜 /服部 剛
 
いだった時」の最後の連にも(年老いて素晴らしい絵を描いた、ルオー爺さんのように)自らも詩と共に生きていきたい・・・という戦後の時代を生きた言葉にならぬ思いを、ルオーの絵に重ねて語られているのも、印象的に思い出されます。そのルオーも戦時中の時代に感じたことを、作品に残さずにはいられない・・・という使命感から「ミセレーレ」という58作品の銅版画で、戦争で傷つき、哀しむ人々を見つめ、作品として遺しました。 

そして、ルオーは宗教画家でありながら、中世の西洋の清らかで敷居の高い宗教画ではなく、当時の道化師や娼婦や、貧しい人々の中にこそ、神の愛の働きが潜んでいる・・・という信念を貫いて、生涯作品を描き
[次のページ]
戻る   Point(2)