静かなる夕暮れの道・ルオー展にて〜町田探訪記〜 /服部 剛
 
井沢の別荘の庭で一人佇む遠藤先生の郷愁がありながらも凛とした後ろ姿を見て寄付した作品との説明書きがあり、彫刻の輝く太陽の顔が、振り返った僕にも微笑みかけてくれました。 

 先ほどの道に戻り、信号を渡り曲がった坂を下りきると、左手には、初めて訪れる国際版画美術館があり、晴天の下、美術館前の広場や隣接の公園には休日の人々が賑わっていました。そして僕は、時代と国を越えて、今も静かに(何か)を語りかけるジョルジュ・ルオー展の無数の絵が展示されている、静寂の館内に入って行きました。 

 振り返れば、ルオーを知ったきっかけも遠藤周作が好きな画家だからですが、茨木のり子の代表作の詩「私が一番きれいだ
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