アメリカンマシンガン&アフリカン/影山影司
弟をねぐらに返して、カタテナシは市場へ向かった。「ガット、一束ちょうだい、と店の女に金を渡すと、葉野菜一掴みをビニール紐で縛ったものを受け取る。海へ行こう、とカタテナシが誘う。
海はこの国には不釣合いに澄んでいた。強すぎる日差しも、海を眺めていると清涼を感じる。青、ライトブルー、コバルト、揺らめく波にあわせて色は変化して、波打ち際に晒されている砂を舐める。砂浜には沢山の杭が打たれた小山が出来ていて、その下には兵士の死体が埋まっているのだ、とカタテナシが教えてくれた。国連軍の上陸作戦の一つはここで行われたらしい。
カタテナシは岩場の上に腰掛けた。周囲より少し高くなっていて、大きく伸びた樹
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