アメリカンマシンガン&アフリカン/影山影司
た樹木の枝が影を落としている。
先程買ったガットという名の葉野菜を一本束から抜き取って、先っぽを口に含む。堅い茎と、その周りに海草のようにひだを作って伸びた葉。茎は食べれないから、前歯でしごくようにして葉だけをこそげ落として食べる。
射撃訓練を受けた時、ガットを憶えたそうだ。この国に麻薬を取り締まる法律は無く、軍にはガッドが蔓延っている。容易に栽培できるため戦争終結に向かっている現在では市場でパンと同じ値段で買えるのだ。
「疲れを感じなくなって、元気が出るんだ」
カタテナシはこそげ落とした葉を奥歯で咀嚼しながら笑った。白い前歯に、明緑色の葉っぱが挟まっていた。カタテナシは来月十三歳になるらしい。アメリカなら同い年くらいの子供がバブルガムでも噛んで同じように笑って暮らしているだろう。
それから一週間、カタテナシとその弟と生活を共にしたが、彼が笑うのを見たのはその一度っきりだった。
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