アメリカンマシンガン&アフリカン/影山影司
 
た。弟は無言で受け取って、スープに浸す。
 カタテナシがパンをちぎるとき、親指と人差し指の根元で挟み込むようにしてパンを持っていた。カタテナシは爆弾を受けた影響で、右手が僅かに不自由なのだと言う。
「国連軍が優しかった父さんと母さんを殺したんだ。僕の幸せは家族と一緒にあった。だから、今の僕の幸せは国連軍を殺すことだ。政権が交代すれば、この街に軍人が一杯やってくる。その時を狙って、殺すよ」
 机に立てかけたM16小銃を掲げてみせる。黒光りする銃身は、どう見ても少年の両腕には大き過ぎる。カタテナシは、毎日整備している銃に書かれているアルファベットすら読めないのだ。

 飯を食い終わると、弟を
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