愛の詩人・上手宰と「冊」の詩人からの伝言/服部 剛
光を見ることは
遠い過去を見ていることだ
何十万光年とか
何十億光年前の光が
いま私たちに届いていることを
私たちは不思議がる
その星はもう滅びているかもしれないと
しかし、もっと不思議なものは
間近に見える妻の笑顔だ
それは星の光と
同じものでできているので
識別できないほど僅かな時間だが
過去からやってきて僕にたどり着く
僕が笑い返せば同じ時間をかけて
彼女の瞳まで光は旅をするだろう
光は距離の別名で
星の輝きが私たちに届くためには
深い暗闇が必要だったが
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